もうそろそろ逝く支度をしている
仲間を送る宴が始まった。
いから、こっちへ来いと
呼ばれた部屋では、
最近やってきた、
ずっと年下の仲間が
つぶれなくなった目を
薄っすらと見開いて、
遠くを眺めている。
目の前のこの人は
もう逝くんだなぁという事が
先輩たちにはわかるよう。
今、この状態で、
家族が誰もここに居ないという事は、
そうなんだなぁ…
だから、自分達は、
この人のそばで陽気に唄うんだ。
それが、同じ釜の飯を食った
仲間の仕事
そんなことも、
人生の大先輩たちは
お見通し。
元気になったら飲もうと約束していた
ビールで乾杯。
主役は、ビールをスポンジに吸わせて、
唇をぬぐう。
「俺は河原の枯れすすき、
同じお前も枯れすすき♪」
仲間たちで、陽気に唄う。
一人では淋しすぎるから….
ろくじろうを
人生最後の居場所に選んだ
目の前の人は、
人生の大先輩たちに見守られて、
そろそろ、この星を
離陸する準備を始めた。
「大丈夫、あっちに行っても、
何処へ行っても
仲間達はたくさんいるから、
自分達も、順番に行くから…」
夜中の、ろくじろうでの宴。