アロマでかぶれた手に、、、

アロマでかぶれた手
アロマでかぶれた手

アロマセラピストという仕事を20年以上もやってきた。
その間、大好きなエッセンシャルオイルでカブレて
大好きなアロマの仕事を諦めなければならなくなった女性を
何人も見てきた。
自分のその手を隠し隠し、働き続ける人も居た。
それは、大好きなこの仕事を手放したくなかったから。
そんな心は、黙っていても痛いほど感じた。

それでも、経営者として
その人をアロマセラピストとして
働かせ続けることはできないと
言わなければ成らない場面に
何度も直面してきた。
その人は、花や植物が大好きだった。
アロマテラピーももちろん、大好きだった。
早朝から深夜まで働いたとしても、
盆も正月も仕事だったとしても、
彼女はこの仕事が大好きだったんだ。
それなのに、彼女の手は隠しようがないほど
赤みを帯びて、荒れて、
ステロイドを塗っても、塗っても
隠しきれなくなっていった。
治るまで休んでほしいと伝えてから三ヶ月
これ以上、彼女を休ませ続ける訳にはいかないと
彼女を呼び出して、もうこの仕事を諦めてくれないかと
話してみた。
何を思ったのか、彼女は待ち合わせの場所に
きれいな着物姿で現れた。
袖や襟元からのぞく肌は、隠しようがないほど赤みを帯びていた。
彼女は、この仕事を再開してほしいという依頼ではないかと、
淡い期待を持って現れたのではないかと、感じられた。
それから彼女は、自分がアロマセラピストとして働いていた
ホテルのフロントレディとして働く事を承知した。
後から入ってくる若い女の子達が
楽しそうに、忙しそうに
エッセンシャルオイルにまみれて働く姿を
彼女はどんな思いで眺めていたのだろう。
あれから何年経った頃だったろうか。
元気で頑張っているとばかり思ってきた彼女の
突然の訃報。
驚いて駆けつけた通夜の場には
ご両親が飾ったのであろう
彼女の大好きなアロマオイルが並べられていた。
きれいなドレスに身を包み
冷たくなった彼女の白い額に
出会ってまだ日が浅い、
ドテラのオレンジとラベンダーを持参して、
そっと塗らせてもらった。
ごめんね、あなたの大好きな仕事を
続けさせて上げることができなかったね。
あの日から、もうすぐ3年。
今、あなたが生きていたなら
きっと、こう伝えに言っただろう。
「あったよ、あなたの皮膚を治してくれる方法が。
戻れるよ、また、だいすきなエッセンシャルオイルを
使える仕事に…」

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